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忘れたいような忘れたくないようなただのひとりごと
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月の丘。
「小細工やめてくれないかな」
 ほとんど彼は初めから気付いていたのかもしれない。
至極落ち着いた様子で、しかし目だけは真剣に、彼はAににじりよった。
「どういうこと?」
 a ははぐらかす。
「まず本を閉じてくれないかな」
 そういうとAの返事も聞かずに少し強引に彼女が開いていた本を閉じた。
そしてAの肩に手を置き、視線を合わせたうえで、断言する。
「僕が好きなのは、君だ」
「それが間違いなの」
 彼女の反応はとても速かった。ずっとずっと前から用意していたかのように。
「僕を好きになったこと、後悔してる?」
 彼だからこそ自然な物言いに少し笑って、
「いつもいつだって後悔してる」
 そうはっきりと、告げた。
「ならなんで、、、」
 いや、と。言葉をやめる。
「Lと付き合えばいいのかい?」
「そう」
「君はそれでいいんだね?」
「それが運命なの」
「ほんと運命という言葉が好きだね」
「…ええ、好きよ」
「君にとって僕はその程度か」
「どういうこと」
「さあね」
 そういうと彼は去って行った。いつもの背中で。
目的は達成された。
 Aはぼうっと、それだけを考えた。 
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