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忘れたいような忘れたくないようなただのひとりごと
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「ハ-イ、アル」
 人通りの多い、ショッピングモール。チェーン展開の、どこにでもあるようなカフェで、どこにでもあるようなこーヒーを飲んでた。そんなところに、長いブロンドをなびかせて、彼女は彼に向かってきた。
「もっと慎め」
 以前あったときは黒髪だった。いまじゃこれだ。歩くたびにロングヘアが揺れるから、道行く人が注目していた。
「怒らないで、ダーリン。あなたが欲しいものをもってきたのに」
「早く渡して消えろ」
 四人がけのテーブルの、正面ではなくアルカナのすぐ隣によせて座った。
「イ 、ヤ 、よ ☆」
 にらみつける。「ワオ」、と彼女。
「何を調子に乗ってるのかしらないが、まだなにもうまくいってないんだからな」
「やめてよ、そんなこと知ってるわ。」
「なら軽率なことはするんじゃない」
「ねえ、オジョーサマは?なんにも気づいてないの?」
「話をはぐらかすな」
「まあないわよね。あなたにぞっこんだものね」
「ジーナ、」
「ねえわたし、あなたのこと好きなのよ。言うとおりにするから、恋人になりたいの」
「ふざけたことを。」
「真剣よ」
「早く渡せ」
「なによ。つまらないの」
 例のものを渡す。その狭間で気づかれないようにジーナはアルカナの首に掛かるRのネックレスをちらりと見た。
 

 カフェを出て、人混に逆らって歩く。それはなんだか小気味よかった。でもなんだかスカッとはしない。
「・・・かわいそうに、まだあいしてるのね」
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